業務効率化
ChatGPTをデザイン制作へ活用する方法とプロンプト例を紹介
AI 技術の進化はデザイン制作の分野にも大きな変革をもたらし、新たな表現の可能性を広げています。なかでもChatGPTは、文章生成や画像生成、HTMLのコード生成などを1つのサービスで対応できるため、デザインの業務に活用する方法を検討している方もいるでしょう。
当記事では、ChatGPTをUIやロゴなどのデザイン制作へ活用する方法とプロンプト例を紹介します。バナーやチラシといった広告のデザインにChatGPTを活用する方法も解説しているので、参考にしてみてください。
デザイン制作へのChatGPT活用方法
デザイン制作のフェーズに合わせてChatGPTを活用すると、余計な手間をかけずに作業効率やデザイン品質が高められます。ChatGPTのプロンプト(指令文)の実行例を参考にデザイン制作を進めてみましょう。
【デザイン制作へのChatGPT活用方法】
活用フェーズ | ChatGPTの具体的な活用方法 |
目的とターゲットの設定 | デザイン制作を行う目的とターゲットを設定する |
デザインアイデア | 必要な要素やカラーイメージなどのデザインアイデアを生成する |
デザイン構成 | 実用的なデザインを実装するために必要な要素やコンテンツを生成する |
デザイン制作 | デザインのイメージや構成を制作する |
ターゲットの設定
ChatGPTを活用してデザインを制作するターゲットを設定します。ターゲットを設定することで基準となる指針ができるため、デザインに一貫性を持たせることができます。
【ターゲット設定のプロンプト例】
あなたはプロのWebデザイナーです。
下記の「#概要」をもとにホームページの「ターゲット」を設定してください #概要
|
【ChatGPTの出力結果】
ChatGPTのプロンプトは依頼したい内容と共に概要を入力すると回答精度が高まります。依頼を明確にした上で詳細な条件を指定することでChatGPTが余計な回答を出力するのを防ぎ、的確な回答が導きやすくなります。
たとえば、基本情報の他に企業理念やキャッチコピーといった詳細情報を提供すると、他社との差別化を考慮した回答が出力されます。
デザインアイデア出し
ChatGPTを活用してデザインに必要な要素や色などのアイデアを生成します。デザインアイデアを生成する際は、「ターゲット」や「提供する商品」、「企業理念」などをプロンプトに含めることでより具体的なアイデアを生成できます。
【プロンプト実行例(壁打ち・ブレスト)】
ホームページ制作を依頼します。
下記の概要を基に「デザインのアイデア」と「サンプル画像」を提案してください。 #概要
|
【ChatGPTの出力結果】
なお、デザインアイデアがイメージと違う場合は、CatGPTとやりとりを繰り返す事でデザインのアイデアを変更することができます。「色のイメージは緑を中心に」や「シンプルなデザインに」など、自身がイメージするデザインを入力して内容を調整してみてください。
デザインの構成
制作するデザインに必要な要素やコンテンツをChatGPTを活用して作成します。デザインの構成をあらかじめ用意しておくことで、制作するデザインのレイアウトや情報の過不足を理解しやすくなります。
【ワイヤーフレームを作成するプロンプト例】
あなたは、Web制作の専門家です。
ホームページ制作を依頼します。 ホームページに必要な要素や情報を提案してください。 |
【ChatGPTの出力結果】
デザイン制作
ChatGPTを活用してデザインを制作することができます。ChatGPTの有料プランを契約している場合は、デザインアイデアをそのまま画像やイラストにすることも可能です。
無料プランの方でも、ChatGPTと「Microsoft Bing Image Creator」などの無料で使用できる画像生成AIを併用することで、画像やイラストを生成することができます。
なお、制作するコンテンツによっては、デザインのラフイメージや利用する画像素材の作成をすることはできますが、デザインを最後まで仕上げることは難しい場合があります。
ChatGPTを活用してデザインしたものを公開できる品質にするためには、別途デザインツールの利用が必要になることがある点に注意してください。
ChatGPTを活用したデザインの制作例
ChatGPTを活用したデザインの制作例を4つ紹介します。
【ChatGPTを利用したデザイン制作例】
- UIデザイン
- ロゴデザイン
- バナーデザイン
- チラシデザイン
UIデザイン
ChatGPTを利用してUIをデザインする際は、HTMLやCSSなどの出力を依頼することでより具体的なデザインを生成することができます。また、プロンプト例では、「JavaScript」を指定していますが、開発環境にあわせて「React」や「TypeScript」などを指定することも可能です。
ただし、ChatGPTによって出力されるUIデザインのままでは、Webページとして公開できる品質ではありません。実際に公開するためには、HTMLやCSSなどを使用してコーディングを行う必要があります。
【UIデザインのプロンプト例】
あなたは、Web制作の専門家です。
ホームページのUIコードを生成してください。 #条件
#ターゲット 広範な年齢層: 子供からお年寄りまでを含む地域住民。 #ゴール ブランド認知度の向上: ホームページによって、企業理念とキャッチコピーを効果的に伝え、地域に愛されるブランドとしての認知度を高める。 #出力
|
プロンプトをもとにChatGPTが生成したHTMLとCSSをテキストエディターに保存し、Webページに表示させます。なお、出力結果に写真やイラストは含まれないため、商品画像は別途追加しています。
【ChatGPTの出力結果】
ロゴデザイン
ChatGPTの有料プランを使用したロゴデザインの例です。
無料プランを利用している方の場合は、デザイン案やカラーイメージのアイデア出しや画像を生成するためのプロンプトを作成したりすることでロゴデザインに活用できます。
【ロゴデザインのプロンプト例】
あなたは、ロゴデザインの専門家です。
条件をもとに画像を生成してください。 #条件
#ターゲット 広範な年齢層: 子供からお年寄りまでを含む地域住民。 健康と安全を重視する顧客: 企業理念に基づき、安心して食べられるパンを求める人々。 #ゴール ブランド認知度の向上: ホームページによって、企業理念とキャッチコピーを効果的に伝え、地域に愛されるブランドとしての認知度を高める。 |
【ChatGPTの出力結果】
バナーデザイン
ChatGPTを活用してバナーをデザインする際は、バナー広告に使用するキャッチコピーなどもあわせて考えてもらうことで、デザインイメージをつけやすくなります。
ただし、ChatGPTによる画像生成は、画像内の言語や文章を指定できないため、ChatGPTで生成したものをバナー広告にそのまま利用することはできません。バナーのデザインイメージを作成する目的で利用しましょう。
【バナーデザインのプロンプト例】
あなたは、デザインの専門家です。
条件をもとに画像を生成してください。 #条件
#仕様
#出力
|
【ChatGPTの出力結果】
チラシデザイン
ChatGPTを活用してチラシのデザインイメージを制作します。プロンプトを作成する際は「#出力」にキャッチコピーやデザイン構成を指定することで、チラシに必要な情報や文言まで生成できます。
【チラシデザインのプロンプト例】
あなたは、デザインの専門家です。
条件をもとにチラシのデザイン案とイメージ画像を作成してください。 #条件
#仕様
#出力
|
【ChatGPTの出力結果】
ChatGPTを使ったデザインの品質を上げる方法
ChatGPTを使ってデザイン制作を行う際は、デザインの品質を上げる方法を確認しておきましょう。
【ChatGPTを使ったデザインの品質を上げる方法】
- デザイン制作に活用できるChatGPTの機能を把握する
- イメージ通りのデザインを生成するためにプロンプトを工夫する
- デザイン制作に使えるGPTsを導入する
デザイン制作に活用できるChatGPTの機能を把握する
ChatGPTのデザイン制作に活用できる機能を把握しておくことで、デザインの品質や作業効率の向上に繋がります。
【ChatGPTの機能とデザイン制作における活用例】
ChatGPTの機能 | デザイン制作における活用例 |
テキスト生成 | プロンプトに基づいてテキストを生成する
例:ロゴやUI・GUIなどのデザイン案、キャッチコピーの作成、広告やパッケージデザインの文字作成 |
画像生成 | プロンプトに基づいて画像を生成する
例:Webサイトやアプリのアイコン、バナー、イラスト、動画などの素材作成 |
カラーパレット生成 | プロンプトに基づいてカラーパレットを生成する
例:ターゲット層の好みやブランドイメージに合わせたカラースキームの作成 |
フォントの提案 | プロンプトに基づいてフォントを提案し、最適化する
例:デザインの雰囲気やターゲットに合わせたフォントやブランドイメージを表現するための統一感のあるフォントの提案 |
コード生成 | プロンプトに基づいてコードを生成する
例:デザインをWebコンテンツとして実装するためのHTML/CSS、JavaScriptなどのコード生成 |
ChatGPTのテキスト生成機能はデザイン創出の足がかりとなるマーケティング活動やブレインストーミングを活性化します。
また、カラーパレット生成機能は色彩イメージから連想されるキーワードを基にカラースキーム(色彩計画)を作成でき、フォント選択機能によって雰囲気に合うフォントを採用することでデザインの見やすさや訴求力を高めることができます。
このように、ChatGPTはデザイン制作の様々な場面で活用できます。アイデア次第で活用の幅が広がるため、活用例を参考にChatGPTが自社のデザイン制作にどのように活用できるかを検討してみてください。
イメージ通りのデザインを生成するためにプロンプトを工夫する
プロンプトを工夫してChatGPTに入力するとデザイン制作の品質が高まります。
【ChatGPTのプロンプト作成の際にできる工夫】
- 目的やターゲットなどを明確に指定する
- 具体的な用語でイメージを的確に伝える
- 複数の回答を提供させる
たとえば、広告用なら「商品の特徴や魅力が伝わるデザイン」、Webサイト用なら「ユーザーのニーズや使いやすさを考慮したデザイン」などと指定します。デザインの目的やターゲットなどを明確にすることでChatGPTが生成すべきデザインが伝わりやすくなります。
さらに、ChatGPTにデザインイメージを的確に伝えるには、具体的な用語でプロンプトを入力することが大切です。抽象的な表現はChatGPTの回答精度を下げるため、具体的な用語でイメージを表現し、色や形、素材などの決まりがあれば指定しておきましょう。
なお、ChatGPTは学習済みの膨大なテキストデータから回答を生成するため、単一の回答では学習データの偏りが反映される場合があります。ChatGPTへ繰り返し質問を行い、複数の選択肢から最適な回答を選んで希望のデザインに近づけましょう。
ChatGPTのプロンプトのコツを詳しく知りたい方は「ChatGPTのプロンプトを作成する4つのコツと活用例を解説」も参考にしてみてください。
デザイン制作に使えるGPTsを導入する
デザイン制作に使えるGPTsを導入すると作業効率とデザイン品質が高まります。デザイン制作に必要な機能をChatGPTのGPTsで強化することで、専門知識やスキルがなくても比較的簡単に希望のデザインが生成できるようになるためです。
【デザイン制作の用途に適したGPTsの種類と特徴】
用途 | GPTsの種類 | 特徴 |
動画生成 | CapCut | テキストから動画を自動生成する。音声ナレーションの追加やアスペクト比の指定なども可能。 |
テキストや動画の要約 | VideoInsights.io | Webサイトなどのテキスト情報やYouTubeなどの動画情報を要約する。 |
テンプレート | Canva | Canvaのテンプレートを使ってデザインを作成する。デザインのカスタマイズも可能。 |
ダイアグラム | Diagrams: Show Me | テキストからフローチャートやマインドマップなどのダイアグラム(図解)を自動生成する。 |
画像検索のGPTsはデザインのアイデア出しや素材集めなどに役立ちます。画像生成のGPTsは従来では表現が難しいようなイメージが具現化できたり、新たな表現の創出をもたらしたりなどデザインの幅を広げてくれます。
なお、各GPTsは開発元によって機能や動作が異なるため、必ず信頼性を確認し、予期せぬ動作やエラーに注意しましょう。
デザインツールの併用によって作業効率を高めることができる
特定の作業においてはChatGPTとデザインツールを併用すると作業効率を高めることができます。
【デザインツールの種類と特徴】
種類 | 特徴 |
ベクターグラフィックツール | 線や曲線の組み合わせで画像を表現する。拡大しても画質が劣化しない。ロゴやアイコン、図解などのデザインに適している。
【ツール例】 Adobe Illustrator、CorelDRAW |
ピクセルグラフィックツール | ドット(ピクセル)の集合で画像を表現する。拡大すると画質が劣化する。写真やイラスト、Webデザインなどのデザインに適している。
【ツール例】 Adobe Photoshop、Affinity Photo |
デザインコラボレーションツール | 複数人で同時にデザインを共有・編集する。チームでの作業が効率化できる。
【ツール例】 Adobe XD、Figma |
ベクターグラフィックツールやピクセルグラフィックツールとの併用は、ChatGPTが生み出したアイデアにラフスケッチやレイアウトを描いたり、編集や合成を施したりしてイメージを可視化し、デザインの理解を深めることでブラッシュアップやフィードバックを促進します。
なお、これらのデザイン作成ツールはあくまでも一例です。ChatGPTとデザイン作成ツールを併用する場合は、自社の導入目的や予算などに合わせて最適なツールを選びましょう。
ChatGPTをデザイン制作に活用する際の注意点
ChatGPTをデザイン制作に活用する際は、注意点を確認しておきましょう。注意点を把握したうえでChatGPTを活用すれば、ChatGPTの機能を安全且つ効果的に活用することができます。
【ChatGPTをデザイン制作に活用する際の注意点】
注意点 | 概要 |
著作権や肖像権などの権利を侵害する恐れがある | ChatGPTの学習データに著作権や肖像権に触れるデータが含まれていると、意図せず権利を侵害するデザインを生成してしまう恐れがある。 |
利用規約が変更になる | ChatGPTの利用規約が変更になる可能性がある。利用規約に違反するとアカウント停止などの措置が取られる可能性があるため、利用規約の確認と遵守を徹底してChatGPTの安全且つ適切な使用を心がける。 |
セキュリティ対策が必要になる | ChatGPTなどのAPIベースのアプリケーションはサイバー攻撃の対象になりやすいため、IDやパスワード等の情報管理を徹底し、利用環境のセキュリティを整えるなどして対策を講じる。 |
デザインやプログラミングの基礎知識が必要になる | ChatGPTが生成したマークアップ言語やコードは時にエラーを伴うため、修正を加えたり、品質を高めたりする場合にはデザインやプログラミングの基礎知識が必要になる。 |
ChatGPTは人間のような自然な会話はできますが、専門性が求められる回答や感情を汲み取った回答などはできません。ChatGPTをデザイン制作に活用する際は、ChatGPTがあくまで学習データに基づいてタスクを処理している点を念頭に置くことが重要です。
なお、ChatGPTの利用規約はOpenAIのWebサイト「Terms of use」で確認できます。また、ChatGPTのセキュリティ対策を知りたい方は「ChatGPTにおいてセキュリティ面で気を付けることとは?対策についても解説」も参考にしてみてください。
まとめ
ChatGPTを活用したデザイン制作では、デザインの企画やアイデア出し、ラフ案の生成などに活用できます。また、ChatGPTへHTMLやCSSの生成を依頼する事で、ホームページのワイヤーフレームを作成することも可能です。
ChatGPTの有料プランを契約している場合は、画像生成ができるため、ロゴや画像素材などを出力することもできます。
ただし、ChatGPTのみでは、デザインしたコンテンツを仕上げるのは難しい場合がほとんどです。商品やサービスとして活用するためには、デザインツールやコードエディターなどを使って手直しや調整が必要になります。
AIを活用した業務工数の削減 個社向けの開発対応が可能
事業に沿った自社専用AIを搭載できる「JAPAN AI CHAT」で業務効率化!
資料では「JAPAN AI CHAT」の特徴や他にはない機能をご紹介しています。具体的なAIの活用事例や各種業務での利用シーンなどもまとめて掲載。