基礎知識

自治体がAIチャットボットで出来る事とは?事例と効果を解説

AIチャットボットに関心のある方の中には、自治体の公式ホームページやAI案内サービスを検討している方もいますよね。その際、自治体がAIチャットボットを導入すると何ができるようになるのか、具体的な役割や機能が知りたい人もいるでしょう。

当記事では、自治体がAIチャットボットを導入する際にAIが出来る事を解説します。具体的にAIチャットボットを導入した自治体の事例と効果も紹介しますので、AIチャットボットが気になる自治体の方は、当記事を参考にしてみてください。

自治体は問い合わせ対応や適切な情報への誘導でAIチャットボットを活用している

自治体は、問い合わせ対応や適切な情報への誘導でAIチャットボットを本格的に活用しています。令和5年度6月度総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」によると、すでに都道府県・指定都市では100%の実施率で、その他の市区町村は45%の割合で実施中です。

【AIチャットボットを実施している自治体】
東京都港区/埼玉県戸田市/静岡県袋井市/京都府京丹後市/奈良県奈良市/大分県別府市 など

たとえば、東京都港区の場合、公式ホームページにアクセスすると、トップページの右端に「港区AIチャット」が設置されています。港区AIチャットの文字をクリックし、「相談チャットはじめる」を選択すると、港区AIチャットに質問できます。

また、埼玉県戸田市の場合は、「戸田市情報ポータルサイト」の中に「AI総合案内サービス」というAIチャットボットが設置されています。戸田市のAI総合案内サービスにアクセスすると、「さくうさ」というキャラクターが現れ、「ごみの出し方」「引っ越したい」などのカテゴリと質問用の吹き出しが表示されます。

自治体のホームページにあるAIチャットボットは、住民がたどり着きたい情報に進むための道しるべになります。役所への問い合わせが多く職員の残業が減らない場合や、質問への待ち時間が長くクレームになる場合は、Aiチャットボットの利用を検討してみましょう。

オンライン手続きをAIがサポートする

奈良県奈良市の場合、住民がオンライン手続きをする際、AIがサポートしています。AIチャットボットがサポートすることで、住民はスムーズに希望の手続きページにたどり着きやすくなります。

【奈良県奈良市の事例】
AIチャットボットの設置場所 「奈良デジタル市役所」
奈良市情報ポータルサイトのトップページ下部
実施時期 令和5年3月3日
利用方法 「チャットボットで問い合わせ」リンクをクリック
AIチャットボットのカテゴリ
  • くらし(手続き/届出・マイナンバー)
  • お金(税・年金)
  • こども・教育・スポーツ
  • 健康・医療・福祉
  • まちづくり・環境
  • イベント・観光
  • 商工・勤労・農林
  • 防災・防火・救急
  • その他

たとえば、児童手当について知りたい場合、「こども・教育・スポーツ」のカテゴリをクリックすると、「こども」または「教育・スポーツ」に分かれます。こどもを選択すると、さらに複数のカテゴリに分かれ、最終的には児童手当の内容にスムーズにたどり着けます。

奈良市のAIチャットボットは今後、「ライフイベントの申し込み」や「電子申請」、「オンラインでの窓口予約」もできるように機能拡充する予定です。自治体がAIチャットボットで出来る事は、住民への質問対応だけでなく、さまざまな手続きも含むと覚えておきましょう。

AI総合案内サービスで1500の質問に答える

埼玉県戸田市の場合、AI総合案内サービスが1500種類の質問に答えています。その質問分野には「妊娠・出産」「子育て」「住まい」など33種類のジャンルがあり、奈良県奈良市と同じ自治体AIチャットボット公認キャラクター「さくうさ」がさまざまな質問に応えます。

【奈良県奈良市の事例】
AIチャットボットの設置場所 ・「戸田市情報ポータルサイト」のトップページの中央部
・各カテゴリにある「キーワードから探す」検索窓 右側
実施時期 平成31年4月
利用方法 「AI総合案内サービス」リンクをクリック
AIチャットボットのカテゴリ
  • ごみの出し方
  • 引っ越したい
  • 新型コロナウイルスについて
  • マイナンバーカードについて
対象分野 妊娠・出産、子育て、住まい、結婚・離婚、ゴミ、
健康・医療、戸籍、住民票、印鑑登録、マイナンバー、
国民年金、税、福祉・生活支援、学校・教育
など

たとえば、「ごみの出し方」をクリックすると、ウサギのさくうさが「何についてお探しでしょうか?」とさらに選択肢を提示します。「ごみの出し方」「家庭ごみの分別」などのカテゴリから「ごみの出し方」を選ぶと、ごみの出し方のPDFリンクが表示されます。

「AIスタッフ総合案内サービス」公式ホームページによると、戸田市はAIチャットボットに「ホームページの不足部分を可視化」する効果があったとしています。自治体がAIチャットボットを導入する際は、ホームページの補完としての役割も意識していきましょう。

観光や防災情報の補助としてAIチャットボットを導入する自治体もある

観光や防災情報の補助として、AIチャットボットを導入する自治体もあります。AIチャットボットは利用者が欲しい情報を即座に探し、表示できます。そのため、旅行中に迷った外国人観光客や防災情報を求める市民へ、すばやく適切な情報を届けられます。

【住民への問い合わせ対応以外の自治体AIチャットボット活用】
AIチャットボットの種類 活用方法
訪日外国人向け 訪日外国人向け観光案内
AIチャットボット
①観光案内所にWebサービスのURLを記載したチラシを配布
②チラシを見た外国人観光客スマホでAIチャットボットにアクセスする
画像AI付きの多言語
チャットボット
①駅構内にポスターやチラシでQRコードを配布(Wi-Fi環境も提供)
②QRコードを読み込んだ外国人観光客は、テキスト入力 または対象画像をかざし観光情報を取得
防災向け 防災チャットボッ
(SOCDA)
 ①住民にLアラートと連携するアプリとして提供
② 消防団へアプリとして提供し、地震発生情報や安否確認を配信
③ 水防団へアプリとして提供し、水位計情報を配信

たとえば、訪日外国人向けのAIチャットボットの場合、外国人観光客が英語でテキスト入力できるだけでなく、画像を送信して情報を得ることも可能です。奈良の大仏へ行きたい場合、奈良の大仏の画像をAIチャットボットに送信すれば、アクセスや料金が表示されます。

また、防災向けのAIチャットボットの場合は、自治体と気象情報の提供企業が連携することにより、住民の問い合わせにAIが自動返信します。防災チャットボットは消防団といった災害対応支援者ともつながっているため、常にアップデートされた情報が提供されます。

AIチャットボットを自治体が導入すると、多言語を使う市民や防災情報が欲しい市民はいつでも問い合わせができるようになります。自治体のAIチャットボット活用は、住民への問い合わせ対応だけでなく、住民や職員への情報発信にも使えると留意しておきましょう。

教育機関もAIチャットボットを活用している

教育機関もAIチャットボットを活用中です。大学がAIチャットボットを導入したきっかけの1つは、ホームページの情報量が膨大になったことでした。AIチャットボットを導入することにより、生徒からの問い合わせ数が減少しました。

【教育機関のAIチャットボット利用状況】
佐賀大学
実施時期 概要
〈受験生・在校生向け〉
2018年7月~
〈教職員専用〉
2023年2月~
受験生向けの入試、在学生向けの教務や就職に関する質問に365日24時間回答する
「佐賀大学AIチャットボット」を大学の公式ホームページ内に設置。
Q&Aは約1,500のパターンを作成し、毎年約12,000件の質問に自動応答できる。
法政大学
実施時期 概要
〈在校生向け〉
2019年9月~トライアルテスト
2020年9月~運用
在校生が使い慣れているLINEをプラットフォームとした「CLOVA Chatbot」により、
平均500~700件の問い合わせをAIが自動回答している。紙の冊子やWebなどに点在していた情報を、
AIチャットボットにより必要なタイミングで学生に届けられる。

たとえば、佐賀大学の場合、「DX推進準備室」を設置してデジタル先端技術を積極的に取り入れています。2018年にはRPA(Robotic Process Automation)の導入でデータの転記や集計作業を自動化。2021年には大学全体で電子決済を可能なグループウェアも導入しました。

また、岡山県津山市教育委員会の場合は、「AIチャットボット活用による児童の心のケア」実証を2022年から開始しました。急速に発展するIT化で教師の負担が増えたため、児童へ寄り添う機会が不足しないよう、民間システム企業と連携して適切な対応を模索します。

教育機関がAIチャットボットを利用すると、AIチャットボットが対応できる問い合わせが増えるため、職員は本来の業務に時間を割けます。教育機関において職員の労働負荷が高いと思われる場合は、AIチャットボットの導入で問い合わせ件数の調整を試みてください。

初期費用や手軽さでLINEのチャットボットを選ぶ自治体もある

初期費用や手軽さでLINEのチャットボットを選ぶ自治体もあります。LINEをプラットフォームにしたAIチャットボットでは、既存のLINEを利用するため、導入費用を抑えることが可能です。

【自治体向けのLINE公式アカウント「地方公共団体プラン」】
概要 月額固定費
LINEアカウントの名称が「地方公共団体名」になっている
自治体のみが使えるプラン。
通常のプランと違い、制限なくメッセージの
送受信が可能となる。
無料
※無料メッセージ通数:制限なし
・追加メッセージ従量課金:-
・プレミアムID利用費用:無料
・オプション機能:有料

たとえば、岡山県岡山市がLINE「地方公共団体プラン」を利用する場合、「岡山市」というLINEアカウント名で契約すると、月額固定費は無料になります。さらに、通常プランにある「無料メッセージ通数は1,000通まで」というルールもなくなります。

また、自治体がLINEでAIチャットボットを利用すると、導入費用やメッセージ送信件数の点で費用が無料になるというメリットがあります。一方、LINEは高齢者やスマートフォンを使わない住民にはなじまないというデメリットもあるため、導入の際は考慮してみてください。

AIチャットボットの導入コストはシナリオ型や質問回答数で異なる

AIチャットボットの導入コストは、シナリオ型や質問回答数で異なります。シナリオ型とは、AIに登録する質問や回答をあらかじめ作成することで、登録する質問/回答数が多いほどAIチャットボットの利用料は高額になる傾向があります。

【AIチャットボットの導入コストと期間の目安】
できること
  • 住民や学生からの質問への24時間365日の自動対応
  • 住民がオンライン手続きをする際のサポート
  • 職員向けのヘルプデスクの役割
  • 観光や防災などの情報発信サイトの補足の役割
導入コスト 初期費用の目安 月額の目安 備考
シナリオ型
5,000円~
月額1万円~5万円 質問回答データ100~200件登録
AI型
10万円~
月額10万円~30万円 質問回答データ500件以上登録
要見積 要見積 質問回答データ1500件以上登録
導入までの期間 1か月以上
※個別見積の場合は3か月以上の場合もあり

たとえば、「AI スタッフ総合案内サービス」の場合、シナリオ型とAI型の混合です。標準化されたシナリオがあるため導入しやすく、複数の自治体が共同利用することで生成AIの回答の精度がより高まります。初期費用は税別100万円、10万円/月から利用できます。

これに対し、シナリオやAIのプログラムは自社で行わなければいけないAiチャットボットサービスもあります。このサービスではAIチャットボットを構築できるプラットフォームのみを無料提供していて、利用者は支払う費用は毎月のメッセージの送信費用のみです。

AIチャットボットを導入する際は、月間でどれほどのメッセージを送信する必要があるのか、質問数はどれほど用意すればよいのかを考えます。AIチャットボット導入時の費用の目安として、シナリオ型の方がAI型よりも利用料は低い傾向があると覚えておきましょう。

AIチャットボットの活用は問い合わせ時間の削減につながる

AIチャットボットの活用は、問い合わせ時間の削減につながります。総務省の発表資料によると、AIチャットボットを利用した自治体は9か月で延べ789時間ほどの問い合わせ時間の削減効果が出ています。

【各自治体のAIチャットボット導入の効果】
総務省の発表
2022年4月1日~2022年12月31日までの期間に、
合計で23,683件の問合せがあり、延べ789時間程度の問合せ時間の削減効果が出ている
佐賀大学
2018年7月~2019年6月までの期間に、合計で23,683件の問合せがあり、
約1,000時間の電話対応時間の削減効果がでている
法政大学
毎年のCLOVA Chatbot問い合わせ件数は平均で6,000件ほどあり、
校舎の窓口への問い合わせ件数は導入前と比べ80%程度削減できている

総務省は2023年6月、自治体のAi利用について「自治体におけるAI・RPA活用促進」を発表しました。その中で、自治体はAIチャットボットを利用することで数百時間の問い合わせ時間を削減できたと報告しています。

AIチャットボットを利用している自治体の半数以上は、AIと同時にRPAも導入しています。AIは問い合わせ対応や情報発信を得意とする一方で、RPAは「財政」「会計」「財務」「児童福祉」「子育て」といったデータを扱う事務処理を得意とします。

AIチャットボットの利用が業務効率につながることは、総務省の発表でも明らかです。ただし、AIの導入には「人材がいない」「コストが高額」などの課題もあります。AIチャットボットを検討する際は、「自治体におけるAI・RPA活用促進」も参考にしてみましょう。

AIチャットボット導入にはメリットだけでなくデメリットもある

AIチャットボット導入にはメリットだけでなくデメリットもあります。自治体がAIチャットボットの導入を検討するなら、AIチャットボット活用時のデメリットも想定してみましょう。

【AIチャットボット導入で想定できるメリットとデメリット】
メリット デメリット
  • 職員の負担を軽減できる
  • 本来やるべき業務に集中できる
  • 住民が返答まで待つ時間が軽減される
  • 観光や防災など、自治体はPRしたい内容を正確に発信できる
  • 導入コストがかかる
    取り組むための人材がいない
  • または不足している
    AIの技術を理解することが難しい
    担当課の理解が得られない

AIチャットボットを利用することにより、自治体は業務時間を大幅に削減できる一方で、導入コストがかかります。また、AI導入において社内に担当者が必要なことも導入時のデメリットの1つです。

Aiチャットボットの導入を検討している自治体は、導入することで起こりうるメリットとデメリットを想定する必要があります。総務省による「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」を参考に、自治体のAIチャットボット導入事例も確認しておきましょう。

総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>

まとめ

自治体は、問い合わせ対応や適切な情報への誘導でAIチャットボットを本格的に活用しています。令和5年度6月度総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」によると、すでに都道府県・指定都市では100%の実施率で、その他の市区町村は45%の割合で実施中です。

AIチャットボットには、シナリオ型とAI型があります。シナリオ型は決まった質問/回答を登録するタイプで、月額1万円~5万円から利用できます。多くの自治体が導入する「AI スタッフ総合案内サービス」は生成AIを利用するため、月額10万円以上が目安となります。

問い合わせ件数や事務処理の多い自治体とAIチャットボットは、業務の自動化や住民の満足度を高めるうえでメリットがあります。一方で、ITに通じた人材がいない自治体や予算が限られた自治体は、AIチャットボットをすぐに導入できない状況となっています。

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