基礎知識

AIによる画像解析とは?仕組みや活用事例を解説

AIの開発によって近年さまざまなシーンで画像解析が活用されています。当記事では、AIを活用した画像解析に興味がある、もしくはビジネスに活用したい方向けに、AIでの画像解析概要や活用事例を解説します。

画像認識AIを導入する場合のメリット・デメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

画像解析はAIの活用により情報を精密に識別できるようになる

画像解析AIは、画像内の情報を精密に識別する技術のことです。AIによる画像解析は、「人間が何らかの対象物を捉えてその対象が何であるか判別する」一連の情報処理を、機械学習や深層学習を活用して画像内の対象を判断します。

AIを活用した画像解析によって、目視では処理しきれない量の画像データに関する識別が可能になりました。画像解析AIは、AIの機械学習や深層学習によって単純でありながら人間には不可能な量の情報処理を効率的に行えます。

AIによる画像解析の仕組み

AIを活用した画像解析は2つのAI技術によって対象となる画像データを認識及び判定します。

【画像解析に活用するAI技術】

AI技術 技術の概要
機械学習 ・データのルールやパターンを自動的に学習する技術
深層学習(ディープラーニング) ・機械学習のひとつ
・データのルールやパターンを多層的な構造で考える技術

AI技術が導入される以前の画僧解析は、人の手によって判別する対象の特徴を入力する必要でした。

たとえば、イチゴとサクランボの画像データが大量にある場合、それぞれの画像に「イチゴ」「サクランボ」とラベル付けの作業を行います。また、イチゴであれば、「赤い」「種がある」という特徴を人の手によって入力する必要もありました。

しかし、機械学習と深層学習によって、人が経験によって対象物を見分けられるのと同じように、コンピュータが登録された大量のデータから自動的に対象物の特徴を学び、与えられた情報以上の細やかな判別が可能になりました。

AIの技術によって人の手間をかけることなく画像解析の精度を向上させることが可能になったのです。

機械学習でデータを認識できるようにする

画像解析の技術では、大量のデータを学習させる「機械学習」によって、AIが画像内の情報を識別できるようにします。そのためには、AIに学習させる大量の「画像データ」と機械学習に利用する「教師データ」を用意し、それぞれを学習させます。

画像データは機械学習を行えるよう、背景と対象物の領域を区別化するなどの処理を経てピクセル単位で抽出します。さらに、AIが例題と正解が対になっている「教師データ」を繰り返し学習することでパターンとルールを把握できるようになります。

なお、機械学習の仕組みにおいては、人間が用意する画像データの数と教師データの内容がAIの精度を左右するといわれています。

深層学習によって対象を判定する

機械学習が行われたデータから深層学習によって対象を判別できるようにします。深層学習はディープラーニングともいわれており、人間の脳の神経回路の仕組みを模したニューラルネットワークを利用する技術のことです。

深層学習の技術を機械学習によるデータ判別と合わせることで顔や文字の認識や画像内のどこに何が映っているか、など高精度の判別が可能になります。

深層学習では、パターンやルールなどの教師データは設定せず、AIが自動的に大量のデータから特徴を抽出して学習モデルを作成します。深層学習による画像解析では、AIが大量のデータ内から抽出したさまざまな情報を元に答えを導き出し、正解とすり合わせながら深層学習を継続して精度を高めていきます。

画像解析AIを活用してできること

現在、画像解析AIを活用してできることはおもに4種類です。画像解析の技術にAIを導入したことによって、人間の判別に近い分類や検出などが行えるようになりました。

【画像解析AIでできること】

  • 画像の分類
  • 画像内の物体検出
  • 画像のセグメンテーション
  • 画像の生成

画像の分類

画像解析AIは、「画像内の対象物が何であるか」を判断したうえで分類できます。

たとえば、車や自転車、複数の通行人などさまざまな対象物が含まれる交差点の画像の中から何が映っているのかを判断できます。また、さまざまな車種や大きさの車が映っている交差点の画像から特定の色のタクシーを分類することも可能です。

このように、AIによる画像解析は、複数の画像データから同じ対象物が映っているものだけを抽出して分類する場合に活用できます。

画像内の物体検出

AIによる画像解析では、画像内のどこに何が映っているのか、対象物の個数などを識別します。

たとえば、画像内に写っている文字を検出し、テキスト化する「文字認識」が物体検出に該当します。また、スマホやデジタルカメラで人物を撮ろうとすると、自動的に人の顔にピントが合う機能も物体検出の技術によるものです。

画像解析AIでは人が複数の対象物が映っている画像を目にした際に即座に「何が」「どこに」「何個」映っているのか判断できるのと同様の判別が可能です。

画像のセグメンテーション

画像認識AIは、画像のセグメンテーション(領域分類)も可能です。画像のセグメンテーションでは、画像内の複数の対象物が似たような色調で隣接する形で並んでいる場合、特定の対象物のみ抽出できます。

たとえば、画像内で白のカーペットの上に寝そべる白い犬が数匹映っている場合、画像認識のセグメンテーションによって犬のみを識別できます。また、車載カメラが車道を認識できるのも画像認識のセグメンテーション技術を活用しているからです。

さらに、画像セグメンテーションの技術によっては、複数のファッションアイテムを付けている人物のアイテムを「サングラス」「靴下」「靴」など、具体的に判別することも可能です。

画像セグメンテーションでは、画像を構成するピクセルの1つずつに「ラベル」という意味付けを行うため、画像内の特定の対象物に対する個別の識別も行えるのです。

画像の生成

画像認識AIの技術を活用した画像生成は敵対的生成ネットワーク「GAN(Generative Adversarial Network)」といわれています。GANは人間の脳の神経回路の仕組みを模した2種類のニューラルネットワークを競わせながらAI学習を進めていく方法です。

GANは、あらかじめ用意したデータに近い特徴をもつ画像データを生成できるため、テキスト内容の画像化や、アニメーションの生成が可能です。たとえば、GANにさまざまな車種の画像を読み込ませると、学習したデータをもとに架空の車の画像を生成できます。

なお、画像認識AIでは、テキスト生成を行うChatGPTとPythonのコードを用いて画像を生成する方法もあります。画像解析による画像生成はエンターテイメントや娯楽などさまざまな目的に流用されていくことが予想されます。

AIによる画像解析の活用事例

画像解析AIはすでにさまざまな分野で活用されています。

【画像解析AIの活用例】

分野 画像解析AIの活用例
医療 <用途>
目視に代わる問診や画像診断<活用する技術>
物体検出、画像セグメンテーション<活用するデータ>
CTやMRIの画像データ
製造 <用途>
排水や排気ガスなどの異常検出、環境監視<活用する技術>
物体検出<活用するデータ>
AIによるカメラやドローンの映像データ
農業 <用途>
野菜の葉に関する病害や害虫の有無を判断<活用する技術>
画像生成<活用するデータや技術>
病害および健全な状態の画像
物流 <用途>
検品作業、庫内作業<活用する技術>
物体検出<活用するデータ>
検品作業:商品の数量や品番、サイズ
庫内作業:作業の動線や滞留時間など庫内作業動画
翻訳 <用途>
画像内のテキストの読み取りおよびテキスト形式への変換<活用する技術>
物体検出<活用するデータ>
印刷物の画像、手書きの文字
セキュリティ <用途>
本人確認<活用する技術>
顔認証技術<活用するデータ>
本人の顔の画像と本人確認書類の画像
マーケティング <用途>
時間帯による顧客の属性、どんな商品がどのような顧客に売れているのかを認識する<活用する技術>
顔認証技術<活用するデータ>
店舗に設置したカメラの映像と売上データ

たとえば、安全性向上を目的に自動車に搭載されている自動運転システムは、車載カメラやセンサーによって取得された画像をAIによって解析し、歩行者や障害物、交通標識などを判別するために活用されています。

今後AI技術が発展することで、より幅広い分野での実用化が期待できます。画像解析AIの開発によって日本の社会課題である人手不足の解消や働き方改革の実現が期待できるでしょう。

画像解析AIのメリット

画像解析AIを事業に導入することは、複数のメリットがあります。

【画像解析AIを活用するメリット】

  • 作業精度や作業効率の向上を図れる
  • 人員の負担を軽減できる
  • 人員不足を解消できる
  • 人件費を削減できる

画像解析AIの活用によって、目視による作業と比較して精度が向上し、人員の負担を削減できます。画像解析AIのメリットは、業務効率化や人材不足解消など、いずれも人材に関連する課題解決に直結したものです。

画像解析AIのデメリット

画像解析AIを導入しようと検討している場合、デメリットも把握しておきましょう。

【画像解析AIを活用するデメリット】

  • 導入コストとデータ準備などの手間がかかる
  • 技術面で発展段階にある場合もみられる
  • 対応用途が限られる場合がある

画像解析AIを事業などに活用しようとする場合、まずは導入目的に応じた画像解析の技術が実装化されているか確認する必要があります。そのうえで、導入コストやデータ準備に要するリソースなどを検討することも念頭に入れる必要があります。

なお、画像解析AIのなかには、用途によって技術面で発展段階にある場合もあります。事業への導入及び活用を検討している場合は対応用途が限られている点もデメリットといえます。

まとめ

画像解析とはAIを活用して画像内の情報を精密に識別する技術のことです。画像解析では、人間が画像内の対象物を捉え、その対象が何であるか判別する一連の情報処理を、AIを活用して判断します。

画像解析は「機械学習」「深層学習(ディープラーニング)」という2つのAI技術によって対象となる画像データを認識及び判定しています。画像解析AIでできることは「画像の分類」「画像内の物体検出」「画像のセグメンテーション」「画像の生成」です。

業務効率化や人手不足の解消を図れるため、医療、製造、農場などすでに幅広い

この記事をシェアする

 
      

AIを活用した業務工数の削減 個社向けの開発対応が可能

   

事業に沿った自社専用AIを搭載できる「JAPAN AI CHAT」で業務効率化!

   

資料では「JAPAN AI CHAT」の特徴や他にはない機能をご紹介しています。具体的なAIの活用事例や各種業務での利用シーンなどもまとめて掲載。

無料相談する

24時間いつでも相談可

資料ダウンロード

詳しい事例や料金を確認

メニュー