基礎知識
AIが広告で出来る事とメリットデメリットを事例で解説
マーケティング業界や広告業界で働いている方の中には、AIを使った広告に関心がある方もいますよね。しかし、「AIを広告でどう使うのか」「具体的にどう活用するのか」といった点で、はっきりとしたイメージを持てない方もいるでしょう。
当記事では、AIを広告に使うとどのようなことが出来るのか、具体例を紹介します。また、広告にAIを使う際のメリットとデメリットも紹介しますので、AIを使った広告に興味がある方は、当記事を参考にしてみてください。
AIを利用した広告や広告運用が増えている
2020年のChatGPTの発表以降、AIを利用した広告作成や運用が増えています。AIはもともと様々な業種で利用されていましたが、ChatGPTによりAIの広告利用がより身近になりました。具体的にAIが利用されている業務には、広告のデザインやコピーライティングなどがあります。
業界/事業内容 | AIの利用方法 |
DX事業/ マッチングアプリ運営 |
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人材派遣業/ 転職サイトや進学サイトの運営 |
バイト求人広告の原稿を一部生成AIによって作成 |
飲料業/ 酒や麦茶などの製造販売 |
大手飲料メーカーの担当者が作成したテレビCM案を、文章生成AIが
フィードバックと修正案を提供 |
化学産業/ 殺虫剤の製造販売 |
テレビCM作成のキービジュアル作成に、翻訳AIと画像生成AIを使用 |
たとえば、マッチングアプリの運営企業の場合、ホームページやSNSに使用するメインキャラクターの画像をAIで作成しています。AIで作成された魅力的な女性の画像は、婚活をしたい男性だけでなく、SNSを使う女性にも注目されています。
また、転職や進学サイトを運営する企業の場合は、バイトの求人広告の原稿をAIに校正させています。求人広告の内容によって応募数が変化するため、AIに企業が想定する年代や性別などの条件を伝えることで、応募者の目に留まるような文章に整えることが可能です。
AIが広告のために出来ることは、画像作成や文章の生成・校正に加え、アイデア出しやプログラミング、動画作成まで多岐にわたります。特にWEB媒体に載せる広告作成をする人は、AIで資料やクリエイティブ作成が効率化できるため、広告へのAI活用を検討してみましょう。
なお、AIの広告利用の中には、AIチャットサービスである「ChatGPT」も含まれます。AIを利用した広告の一つとしてChatGPTにも興味がある方は、「広告にChatGPTを活用する5つの方法と具体例を解説」を参考にしてみてください。
広告運用の自動化や最適化が可能
AIを利用ですることで、広告運用の自動化や、広告の最適化できます。そのため、人材が不足している広告運用会社や、広告出稿費用を改善したい広告代理店は、AIの導入によって課題を解決できる可能性があります。
たとえば、Google広告に備え付けられている自動入札機能では、設定した目標に対して最大の効果が出るように入札単価を調整してくれます。これにより、広告費用の最適化と広告運用担当者の業務効率を向上させることが可能です。
WEB広告の運用や最適化には、キーワードの調査や分析が必要ですが、その一部は、AIに任せることが可能です。広告出稿費用や、広告運用の効果に課題がある方は広告運用へのAI活用を検討してみてください。
AIを活用した広告運用の例
AIを活用した広告運用の例を紹介します。広告運用を行う企業の方は、AIの活用例を確認して自社でAIを活用できないか検討してみてください。
業界/事業内容 | AIの利用方法 |
食品業/ 食品の通信販売 |
WEB広告運用サービスを使い、リスティング広告の運用を実施 |
IT業/ 検索エンジン運営等 |
Google広告の「目標コンバージョン単価」はAIが利用されている |
IT業/ ネット通販ポータルサイト運営等 |
独自のアルゴリズムをもつAI広告エージェントを開発し、購買見込みユーザーを抽出 |
アパレル業/ レディース・メンズのトータルファッション製造販売 |
洋服販売アプリのリテンション率(一定期間内の再訪率)を上げるため、AI分析サービスを使い顧客インサイト仮説シートを作成
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小売業/ ゴルフショップのECサイト運営 |
WEB上の顧客行動を把握するため、広告配信手法「オーディエンスターゲティング」のDMPを使用 |
たとえば、リスティング広告の場合、AIを取り入れた「WEB広告運用サービス」を利用できます。WEB広告運用サービスでは、出稿した広告の審査や掲載状況の確認や、ターゲットが利用する媒体の選定など、広告運用に必要な作業をAIが自動で運用します。
また、ネット通販の場合は、事業者は通販サイトの会員IDや購買情報をビッグデータとしてまとめ、AIに分析を依頼できます。AIが膨大な情報を分析することにより、会員ごとの嗜好や購買傾向がわかり、最適な広告をネット通販サイトに表示できるようになります。
広告の参考データが多いほどAIの精度は向上する
AIには、広告の参考データが多いほど精度が向上するという特徴があります。AIは人間から与えられるデータを参照し、「機械学習」と「ディープラーニング」で最適な回答を探し出します。そのため、AIが参照する広告関連のデータが多いと、AIが予測する需要や発注予測も現実的な数値に近づきます。
【AIの仕組み】
たとえば、飲食店が来店客にアンケートを取った場合、アンケートには「性別」「年齢」「気に入ったメニュー」などの項目があるとします。アンケートの項目数と実施回数が多いほど、AIは「この店に足りない要素は肉料理です」のような、具体的な提案をしてくれます。
AIを広告に利用する場合は、広告のターゲット層の年齢層や販売実績など、できるだけ多くのデータを用意すると効果的です。また、これまで販売されたことのない新商品やサービスにAIを利用する場合は、コンサルタントとしてAIに意見を聞いてみましょう。
広告にAIを利用するメリット
広告にAIを利用するメリットを紹介します。AIを広告に利用するメリットとして、広告運用の自動化やコンバージョン率向上が挙げられます。また、AIのもつ機能を利用すれば、広告におけるデザインやクリエイティブ作成の効率化も期待できます。
デザインやクリエイティブのメリット | 運用や分析のメリット |
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たとえば、化粧品のキャンペーンの広告作成の場合、化粧品の広告で守るべき法律のチェックの時間を短縮できます。化粧品の広告が虚偽や誇大広告にあたる場合、薬機法違反となりますが、AIに薬機法を学習させることで違反に抵触する表現の確認を効率的に行えるためです。
また、アパレルに関するリスティング広告の場合は、購入や問い合わせの成果が出ない場合の修正にも利用できます。アパレル広告からの成果が不十分であれば、AIに製品に合うユーザー情報のセグメントについて修正案をもらい、最適なユーザーに広告を表示させることが可能です。
広告にAIを利用するメリットは、AIのもつ分析・処理能力の活用により、広告の効果や生産性を上げられることです。広告作成のプロセスを変えていきたい方や、広告の費用対効果を高めたい方は、広告にAIを利用することを検討すべきです。
広告にAIを利用するデメリット
広告にAIを利用するデメリットもあります。利用するAI製品の種類によっては、高額な費用がかかることがあり、一定のデータ量がない状況下だと、AIの効果が十分に発揮されるまでに時間がかかります。
費用のデメリット | 適した条件のデメリット |
AIツールを利用する場合、初期費用や月額料金がかかるものがある |
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たとえば、広告用の文章作成ができるAIツールを利用する場合、機能や文字数などの条件によっては有料になることがあります。
また、広告入札の自動化でAIを利用する場合は、担当者が定期的に入札状況を確認する方がよいでしょう。AIの自動入札をサジェストに基づいて設定している場合、サジェストが時間により変化することで、意図しないKWへ入札して、無駄な広告費を支払ってしまう可能性があります。
AIを広告に利用するデメリットは、費用がかかる場合がある点と、AIが参照するデータが古い場合はパフォーマンスが低下する点です。AIを広告に利用してみたいけれど費用が気になるという方は、無料プランを持つツールやサービスを考慮にいれてみましょう。
AIを利用した広告は今後ますます種類が増える
AIを利用した広告は今後ますます種類が増える可能性があります。効率化や広告の成果を上げたい方は、AI広告の採用を検討してみましょう。
項目 | 例 |
バナー |
〈広告〉
ダイエットについて検索している人がTwitterを見ると、タイムラインの中に「一日たったの100円!と書かれたダイエット食品の画像が表示された 〈AIが出来る事〉 キーワードに合わせて最適な画像、背景、コピーを選定する |
コピー |
〈広告〉
ヨガ用のウェアを探している女性が「ヨガウェア 安い」と検索すると、検索ページの上部に「かわいくて安い、売れているヨガウェアはこちら!」という記事タイトルが表示された |
ショート動画 |
スイーツ好きな男性がTikTokを見ていると、新しい素材を使ったパフェのショート動画が流れた
〈AIが出来る事〉 プロンプトに入力されたキーワードや主題を元に、データベースにある背景、オーバーレイ画像(複数の画像を重ねる)、ナレーションを自動で選定し編集する |
分析 |
〈状況〉
WEBサイトのコンバージョン率が低いため、サイトに訪れたユーザーが見ている文章や離脱している箇所を特定したい 〈AIが出来る事〉 ヒートマップ(データの見える化ツール)機能により、WEBサイトでユーザーが留まっている箇所や離脱している箇所のレポートを作成する |
提案 | 〈状況〉 ランディングページのコンバージョン率が低いため、サイトをどのように改善すればよいのか決定したい 〈AIが出来る事〉 作成したランディングページをAIが読み込み、最適なリスティング広告のキーワードや説明文を生成する |
たとえば、バナーの場合、SNS広告に出稿するバナーをAIが作成できます。AIを利用すれば、制作時間を短縮しながらインフィード広告やディスプレイ広告などの拡散されやすいSNS広告を作成できます。
総務省の令和4年度情報通信白書によると、2021年にはインターネット広告がマスコミ4媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の費用を初めて上回りました。今後もますますWEB広告の需要は増えると見込まれます、広告制作にAIの技術をうまく活用し、効率化を目指しましょう。
まとめ
2020年のChatGPTの発表以降、AIを利用した広告作成や運用が増えています。ChatGPTの普及により、AIの広告利用はより身近なになりました。AIは広告のデザインやコピーライティングなどの幅広い業務で利用されています。
AIの利用で、広告運用の自動化や最適化が可能です。AIを利用すると、広告運用をする専門的な人材がいない企業でもWEB広告の運用ができます。また、予算内で最大の効果(例:コンバージョン)を発揮するために、広告運用にAIを利用する人がいます。
一方、AIを広告に利用するデメリットとして、AI製品の種類によっては高額な費用がかかる点が挙げられます。また、一定のデータ量がない状況下だと、AIの効果が十分に発揮されないことがあります。AIの特徴を十分に知り、広告の制作時間や成果に役立てましょう。
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