基礎知識

AIシステムの自社開発が進む理由とは?メリットやデメリットを解説

AIシステムの自社開発が進む理由とは?メリットやデメリットを解説

DXの加速に伴い、AIシステムの導入においても外部委託ではなく、自社内で開発・運用を行う動きが広がりつつあります。自社の業務やデータに最適化されたシステムを構築できる点が魅力とされ、多くの企業が内製化を模索しています。

しかし、高度な技術力と人材、十分な開発リソースが求められるため、慎重な判断が欠かせません。安易な自社開発は、想定以上のコストやスケジュール遅延を招き、最悪の場合プロジェクト自体が頓挫するリスクもあります。

本記事では、AIシステムの自社開発が進む背景や、取り組むメリット・デメリット、そしてプロジェクトを成功に導くための重要なポイントについて解説します。

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AIシステムを自社開発する企業が増えている背景

AIシステムを自社開発する企業が増えている背景

日本企業で内製化の必要性が高まっている背景には、まず日米間の開発体制の大きな違いがあります。『DX白書2023』によれば、AI開発を「自社開発で活用している」と回答した企業は日本で26.9%にとどまる一方、米国では60.2%に達しています。対照的に「外部委託を活用している」割合は日本が40.1%で、米国の33.0%より高く、依然としてベンダー依存の構造が強く残っています。こうした差異が、自社でも開発できる体制への転換意識を生み、内製化の動きを後押ししています。

AI開発はPoCを繰り返して仕様を固めていくプロセスが中心で、変更前提の取り組みです。しかし、外部委託で一般的なウォーターフォール型契約は要件を事前に固定するため、試行錯誤との相性が良くありません。調整や追加契約が重なりやすく、意思決定から実装までの速度が落ちることが課題となり、自社内で素早く検証できる環境を求める声が増えています。

さらに、LLMAPIとして利用できるようになったことで高度な自然言語処理機能を手軽に組み込めるようになり、AutoMLの普及によって専門的な工程を既存のエンジニアでも扱いやすくなりました。技術的ハードルが下がったことで、事業会社が自らAIシステムを構築する現実性が高まり、内製化の流れが一段と強まっています。

出典:DX白書2023 第5部DX実現に向けたITシステム開発手法と技術

AIを自社開発する3つのメリット

AIを自社開発する3つのメリット

自社でAIシステムを開発する動きが広がる中、単に外注コストを削減する以上の価値が注目されています。特に中長期での経営判断や競争優位の確立を見据えたとき、内製化には大きな意味があります。ここでは、AIを自社開発することで得られる3つの主要なメリットについてお伝えします。

  • 長期的なコスト削減と柔軟な運用
  • 社内への技術ノウハウの蓄積
  • セキュリティとデータガバナンスの確保

長期的なコスト削減と柔軟な運用

自社開発は初期段階での人材確保やインフラ整備にコストがかかるものの、長期的にはコストメリットが期待できます。外部委託では、開発費だけでなく、継続的な運用費用や機能追加のたびに発生する見積もり・手数料が重なり、結果として割高になるケースも少なくありません。

また、事業環境の変化に応じた仕様変更や改善を迅速に行いたい場面でも、社内リソースがあれば即座に対応可能です。外部委託では契約や見積もり作成に数週間を要することもあり、このタイムラグがビジネスチャンスの逸失につながるリスクも見逃せません。

社内への技術ノウハウの蓄積

外部ベンダーにすべてを委託してしまうと、システムの構造や処理内容が把握できない「ブラックボックス化」が進み、特定ベンダーへの依存から抜け出せなくなる恐れがあります。

一方で、内製化を通じて開発の経験や知見が社内に蓄積されれば、AIを活用した新規事業やDX施策の基盤となり、企業の成長を支える「技術資産」として活用できます。このような知見の内在化は、組織力の底上げにもつながります。

セキュリティとデータガバナンスの確保

AIシステムの開発・運用を社内で行うことで、顧客情報や機密データを外部に持ち出すことなく、プライベートクラウドやオンプレミス環境で安全に管理できます。その結果、情報漏洩リスクを最小限に抑えることが可能になります。

特に金融、医療、製造などの分野では、厳格な法規制や社内ポリシーに準拠する必要があり、外部委託よりも自社開発の方が安全性の高い運用が行える点が評価されています。

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AIを自社開発する際に直面するデメリット

AIを自社開発する際に直面するデメリット

AIシステムの自社開発には多くのメリットがある一方で、現実的な課題にも目を向ける必要があります。特に人材やリソース、品質担保といった側面は慎重に見極めなければなりません。ここでは、自社開発を進める際に直面しやすい2つの主要なデメリットについてお伝えします。

  • 高度な専門人材の確保が困難
  • 開発期間の長期化と品質保証の難しさ

高度な専門人材の確保が困難

AIエンジニアやデータサイエンティストといった専門人材は、年収水準の高騰や競合企業による獲得競争の激化により、一般的な事業会社が安定して確保するのは非常に困難です。大手テック企業やスタートアップに人材が集中している現状では、採用活動自体が長期化・高コスト化する傾向があります。

仮に採用できたとしても、彼らのスキルや貢献を正しく評価できるマネジメント層や人事制度が整っていなければ、モチベーションの低下や早期離職につながるリスクがあります。専門職に応じたキャリアパスの整備も不可欠であり、単に採用するだけでは十分とは言えません。

開発期間の長期化と品質保証の難しさ

AIシステムの開発ではPoCを繰り返しながら仕様を固めていくプロセスが一般的ですが、実務経験の乏しいチームでは本番運用に至らないままPoCで止まる「PoC死」の状態に陥ることがあります。これは、開発の方向性や評価基準が曖昧なまま進めてしまうことに起因します。

また、バグや推論精度の劣化といった不具合が生じた際には、すべての原因調査と修正作業を自社で担う必要があります。運用フェーズにおける保守・改善の負荷が予想以上に重くなる点も、自社開発を検討する際の重要な留意点です。

AIの自社開発に必要なリソースと体制

AIの自社開発に必要なリソースと体制

AIシステムを内製化するためには、技術力だけでなく、開発環境や人材配置、運用まで見据えた体制づくりが欠かせません。適切なリソースを確保できているかどうかが、プロジェクトの成否を大きく左右します。ここでは、自社でAI開発を進める際に必要となる主な要素についてお伝えします。

  • 開発環境とインフラ(GPU・クラウド)
  • 必要な人材とチーム編成
  • 開発コストと期間の目安

開発環境とインフラ(GPU・クラウド)

AIモデルの学習や推論には、NVIDIAGPUなどを搭載した高性能なサーバーや、AWSGCPAzureといったクラウド環境の活用が欠かせません。これらの環境を適切に選定・構築するには、インフラやAIに関する専門的な知識が求められます。

さらに、AIを正確に学習させるためには、ノイズの少ない「きれいなデータ」の存在が前提です。そのためには、DWH(データウェアハウス)やデータレイクなどの堅牢なデータ基盤の整備が必要となります。

必要な人材とチーム編成

AI開発を進めるには、プロジェクトマネージャー(PM)、データサイエンティスト、機械学習エンジニア、フロントエンドエンジニアといった複数の専門職で構成されたチームが必要です。各自の役割を明確にしながら、プロジェクト全体の連携を図ることが重要です。

加えて、開発チーム内には現場の業務フローや顧客ニーズを深く理解したビジネスサイドの担当者が不可欠です。彼らの視点が欠けると、実際の業務で活用されない「現場で使えないAI」が出来上がるリスクが高まります。

開発コストと期間の目安

AIシステムをゼロから構築する場合、人件費やインフラ整備費、ツール利用料などを含めて、初期費用だけで数千万円規模に達するケースもあります。このため、ある程度の投資覚悟が必要です。

また、要件定義からPoC、本番実装に至るまでには、最短でも半年から1年程度の期間を見込むのが現実的です。短期での成果を期待せず、中長期的な視野で開発計画を立てることが求められます。

AIの自社開発と外部委託(AIベンダー)の比較判断基準

AIの自社開発と外部委託(AIベンダー)の比較判断基準

AIプロジェクトを自社で開発すべきか、あるいは専門ベンダーに委託すべきかは、目的や体制、求められるスピードによって大きく異なります。判断を誤ると成果に直結するため、あらかじめ基準を明確にしておくことが重要です。ここでは、判断材料となる3つの視点と、外部委託の選択肢として注目される支援企業についてお伝えします。

  • コア業務かノンコア業務か
  • 社内にリードできる人材がいるか
  • スピードと品質の優先順位

コア業務かノンコア業務か

そのAIシステムが自社の競争優位に直結するコア業務に関わるものであれば、ブラックボックス化を避けるためにも自社開発を選ぶべきです。アルゴリズムの中身や判断ロジックを把握・制御できることは、戦略的な運用において大きな意味を持ちます。

一方で、経費精算や日程調整などのノンコア業務であれば、市場に存在する完成度の高いSaaSAIツールを導入する方が効率的です。汎用性のある業務に対しては、既存ソリューションの活用が最も合理的な選択肢となります。

社内にリードできる人材がいるか

AIプロジェクトを内製化する際には、技術とビジネスの両面を理解し、プロジェクト全体を牽引できるリーダーが社内にいるかどうかが成否を分けます。CTOや経験豊富なPM1人でもいれば、開発を主体的に進める体制を築けます。

たとえすべてを内製化できなくても、プロジェクトマネジメントを自社で担い、実装部分を外部パートナーと連携する「ハーフ内製化」という選択肢も現実的です。柔軟な体制構築が重要です。

スピードと品質の優先順位

導入スピードを最優先に考える場合は、完成された外部ツールを活用するのが効果的です。既に実績のあるソリューションであれば、短期間で成果を出せる可能性が高まります。

一方で、自社特有の業務や複雑な要件に対応し、長期的に柔軟な運用を重視するなら、内製化による構築が適しています。目的や事情に応じて、どちらを優先すべきかを見極めることが重要です。

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また、導入後もAI活用状況の可視化や定着を支援することで、継続的な価値創出に向けたAXAIトランスフォーメーション)を実現。自社内製化に不安がある企業でも、安心してAI導入に踏み出せるパートナーとして機能します。詳細は以下よりご確認ください。

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AIの自社開発を成功させるための具体的な手順

AIの自社開発を成功させるための具体的な手順

AIシステムを内製化して実用レベルにまで落とし込むためには、感覚的な開発ではなく、段階的なプロセス設計が不可欠です。課題の定義から開発手法の選択に至るまで、一つひとつの工程を着実に進めることが成果に直結します。ここでは、AIの自社開発を成功へ導くための具体的なステップについてお伝えします。

  • 課題の特定と目的の明確化
  • データの収集と整備
  • アジャイルな開発とPoCの実施

課題の特定と目的の明確化

AI開発を始める際は、「AIを使うこと」自体を目的にせず、解決すべき課題を起点に据えることが欠かせません。業務のどこにボトルネックがあるのかを特定し、その改善手段としてAIが適しているかを見極める姿勢が重要です。

また、導入効果をどの指標で測定するのかも事前に決めておく必要があります。処理時間の削減や売上の向上など、具体的なKPIを設定することで、プロジェクト全体の方向性がぶれにくくなります。

データの収集と整備

AI開発では「ゴミデータを入れればゴミが出てくる」という原則が常に当てはまります。正確な結果を得るためには、データクレンジングやアノテーションなど、地道な前処理作業が不可欠です。

これらの工程は開発全体の大部分を占めることが多く、モデルの精度を左右する最も重要な基盤であることを理解しておく必要があります。

アジャイルな開発とPoCの実施

AIシステムを最初から完璧に仕上げることは現実的ではありません。まずは対象を限定し、特定部署や特定業務に絞ったプロトタイプを作成し、実際の利用シーンから得られるフィードバックを基に改善を重ねるプロセスが効果的です。

このアジャイル型アプローチにより、現場の実情に合った形でシステムを育てていくことができ、PoCの段階から価値を検証しながら前に進める点が大きな利点となります。

AIの自社開発に関するよくある質問

AIの自社開発に関するよくある質問

AI開発の内製化を検討する企業からは、スキルや期間、費用に関する具体的な質問が多く寄せられます。導入判断の前提となる基礎情報を把握しておくことで、プロジェクトの進め方や外部連携の必要性が明確になります。ここでは、自社開発に関してよくある代表的な質問についてお伝えします。

  • プログラミング未経験でも開発できますか?
  • 開発にかかる期間はどれくらいですか?
  • 開発費用の相場は?

プログラミング未経験でも開発できますか?

ノーコードやローコードの開発ツールを活用すれば、プログラミング未経験でもAIの試作は可能です。ただし、実用レベルの精度を出すには、扱うデータの構造や前処理、AIが行う推論ロジックに関する一定の理解が求められます。見た目だけの構築にとどまらず、設計の背景を理解することが重要です。

開発にかかる期間はどれくらいですか?

AI開発の期間はプロジェクトの規模や目的によって大きく異なりますが、PoC(概念実証)だけでも通常3ヶ月から半年程度はかかります。さらに本番運用まで進めるには、要件定義やデータ整備、改善サイクルを含めて1年以上かかるケースも一般的です。

開発費用の相場は?

AIシステムの開発費用は要件によって幅があります。外部に委託する場合、シンプルな構成でも数百万円から、複雑なものでは数千万円規模になることもあります。内製であっても、エンジニアの人件費やインフラ整備、学習用クラウド費用などが発生するため、相応の投資が必要になります。

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AIシステムの自社開発は、競争優位を築く手段として注目される一方で、高度な専門人材やインフラ、体制の整備が求められるため、実行には相応のハードルがあります。また、既製の外部ツールに依存しすぎると、自社の複雑な要件に柔軟に対応できないというジレンマにも直面します。

その点、「JAPAN AI CONSULTING」なら、高精度なAIエンジンを基盤に、自社独自のデータを活用したAIエージェントを構築可能です。完全な内製にこだわらずとも、自社に最適化されたAIシステムを実現できます。自社専用のAIを本気で検討するのであれば、まずはJAPAN AIへの相談が最適な第一歩となるでしょう。詳細は以下よりご確認ください。

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