基礎知識
広告にChatGPTを活用する5つの方法と具体例を解説
広告業界で制作やデザインを担当する人の中には、「仕事の生産性を上げたい」「残業を減らしたい」と考える人もいますよね。その際、最近話題の「ChatGPT」を活用したら、どのような効果があるのか知りたい人もいるでしょう。
当記事では、広告にChatGPTを活用する5つの方法を紹介します。具体的にChatGPTを使う手順も解説しますので、ChatGPTを広告に生かしたい人は、当記事を参考にしてみてください。
ChatGPTは広告のコピーやバナー作成に活用できる
ChatGPTを活用すると、広告におけるキャッチコピーやバナー作成が可能です。ChatGPTのチャット欄にプロンプトという指示文を入力すると、ChatGPTが広告に合ったキャッチコピーやバナーのデザインを作成してくれます。
文章 |
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デザイン |
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動画 |
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プログラミング |
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分析・リサーチ |
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ChatGPTを広告に使用すると、アイデアを提案してくれたり、作成に時間がかかる作業を数秒で完了してくれたりします。広告のアイデア出しやクリエイティブ制作の時間を短縮したい人は、業務にChatGPTを取り入れてみましょう。
文章作成に活用する場合
ChatGPTは広告のコピーやSEO記事などの文章作成に活用できます。ChatGPTで広告用のさまざまな文章を作成する方法を紹介します。
文章の種類 | 作成方法 |
キャッチコピー | ① キャッチコピーを作成したい製品やサービスを指示文(プロンプト)にしてChatGPTに入力 ② ChatGPTが作成したキャッチコピーの候補が複数表示 |
SEO記事 | ① 作成したいオウンドメディアやサイトの内容と記事テーマをプロンプトとしてChatGPTに入力 ② 希望の内容と希望の文字数の記事をChatGPTが作成 |
ストーリーテリング | ① 販売したい製品やサービスの情報と「ストーリーテリングの提案の依頼」のプロンプトを入力する ② ChatGPTが広告のストーリーテリングをいくつか提案 |
たとえば、化粧品のファンデーションのキャッチコピーを作成する場合、まず「30代」「高級」といった言葉で以下のような指示文(プロンプト)を作成します。すると、ChatGPTは即座に3つのキャッチコピー案を出力してくれます。
プロンプト:30代女性向けの高級感のあるファンデーションのキャッチコピーを、3つ提案して欲しいです。保水力があり、伸びが良いことが特徴です
出力例:
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ChatGPTは自然言語処理ができるため、文章の生成や要約が得意です。ChatGPTでの文章作成は、ChatGPTトップ画面下部の入力欄にプロンプトを入力するだけで行えます。ChatGPTを広告に活用したい人は、まずは文章作成から試してみてください。
デザイン作成に活用する場合
ChatGPTは広告デザインやバナーのデザイン案を作成する際に活用できます。ChatGPTを使用することで、プロンプトに応じてデザイン案の作成や適切な画像サイズ、配色の提案などをしてくれるためです。
デザインの種類 | 作成方法 |
デザインのビジュアル案 | ① 販売したい商品・サービスの条件と欲しいイラストや写真の情報をプロンプトとしてChatGPTに入力 ② ChatGPTが広告に合う色指定やイラスト・写真を提案 |
広告バナーのデザイン案 | ① 作成したい広告の条件や文言、バナーサイズをプロンプトにしてChatGPTに入力 ② ChatGPTが広告バナーの文言、配色、フォントサイズをChatGPTが提案 |
ロゴデザイン |
① どんなWebサイトやチラシで使いたいロゴなのか、SVGコードで出力して欲しい旨をプロンプトにしてChatGPTに入力
② ChatGPTがロゴ案をSVGコードで提案 |
たとえば、スポーツウェアのデザイン案を作成したい場合、ChatGPTに「20~30代」「男性」「フィットネス」などイメージしているKWでプロンプトを作成します。その結果、ChatGPTは「ブルーグレーの背景」「正面にスポーツウェアを着た男性」などのビジュアル案を提案してくれます。
ChatGPTは、広告デザインの作成時にアイデア出しやWEBページへ実装できるSVGコードを生成します。広告のデザインの案出しをする場合やプログラミングをせずに画像生成したい場合は、ChatGPTへデザインについて質問をしてみましょう。
なお、「ChatGPT Plus」と「ChatGPT Enterprise」を利用しているユーザーは、ChatGPTにプロンプトを入力することで画像生成AIモデル「DALL-E3」による画像生成を行えます(2023年10月時点)。ただし、「ChatGPT Plus」と「ChatGPT Enterprise」を利用するには費用が掛かるため、利用を検討している人は留意しておきましょう。
動画制作に活用する場合
ChatGPTは動画制作の一部を補助してくれます。ChatGPTを利用すると、動画の台本作成や、動画の目次、タイトル案の提案を受けることができます。また、動画そのものの作成も、動画生成 AIを組み合わせることで効率的に作成できます。
動画に関わる作業の種類 | 作成方法 |
アイデア出し | ① キーワードと共に、YouTubeのアイデア出しをChatGPTに入力 ② ChatGPTが動画タイトル、内容、ポイントなどを提案 |
台本 | ① 作成したい動画のタイトルや登場人物、収録時間などの条件を記載し、ChatGPTに台本作成の指示を入力 ② ChatGPTが希望の条件の台本を作成 |
動画のタイトル | ① 動画のテーマや内容、作成してほしいタイトル案の本数をプロンプトにしてChatGPTに入力 ② ChatGPTが動画に適したタイトルのリストを作成 |
たとえば、税理士事務所のYouTube用に広告動画を作成したい場合、以下のようなプロンプトでアイデア出しを依頼します。
プロンプト:税理士事務所のYouTube用の広告動画のアイデア出しをお願いします。「宇都宮市」「創業30年」「相談無料」「信頼ひとすじ」「安心価格」「スピーディー」のキーワードを入れ、どのような動画にすればよいかのアイデアを、3つほど挙げて欲しいです。
出力例(抜粋):
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ChatGPTを使用すると、動画の台本やアイデア出しを短い時間で完了できます。動画生成AIやChatGPTプラグイン機能を使うと、文章入力で本格的な動画も作成できるので、動画広告を作成したい人は試してみてください。
プログラミングに活用する場合
ChatGPTは、広告で使用するオウンドメディアやホームページのコーディングに活用できます。プログラミングの知識が少ない人でも、ChatGPTにプロンプトを入力することで、ページ構成やHTMLに関する回答を得られるためです。
プログラミングの種類 | 実施方法 |
サイト作成時のコード生成 | ① ChatGPTに作成したいサイトの目的やターゲットなどの要件とページ情報をChatGPTに入力 ② ChatGPTがページ構成を提案 ③ 送られてきたページのHTMLやCSSを提案 |
たとえば、オンライン英会話スクールのランディングページを作成する場合、ChatGPTにプロンプトで「黒酢配合」「BMI高めの人に効果」などの情報を入力します。その結果、Cha GPTはランディングページに必要な「キャッチコピー」「アイキャッチ画像案」「導入文」「商品やサービス情報」などを提案してくれます。
また、ランディングページを実際に作成するためのHTMLやCSSも、プロンプトで依頼をすると、生成してくれます。
ChatGPTを使うと、プログラミングの初心者でもWebサイトの構成を作成したり、コーディングを実施したりできます。ただし、ChatGPTは2021年9月までのデータを元にしています。回答が不正確な場合もあるため、あくまで参照用として活用するようにしましょう。
分析・リサーチに活用する場合
ChatGPTは広告のための分析・リサーチに活用できます。ChatGPTを使ってマーケティングやABテストをする方法を紹介します。
広告分析やリサーチの種類 | 実施方法 |
マーケティングリサーチ | ① ChatGPTの有料プラン「 ChatGPTPlus」に加入 ② マーケティングのために実施した個人アンケート結果をExcelやCSV形式でアップロード ③ アンケート結果をもとにChatGPTがグラフや表を作成 |
ABテストの定量的評価 | ① ChatGPTに2つのキャッチフレーズやテキストの比較検討を促すプロンプトをChatGPTに入力 ② ChatGPTが分析結果を評価 |
ペルソナ設定 |
① ChatGPTに自社の製品・サービスを使いそうなターゲットの情報(年齢層・性別・地域・年収・職業・使用アプリ・SNS頻度など)をChatGPTに入力し、ペルソナ作成を依頼
② ChatGPTがターゲット情報からペルソナを作成し提案 |
SEO | 〈キーワードの選定〉 ① 上位表示したいサイトの情報とキーワード選定依頼をプロンプトで入力 ② ChatGPTが狙うべきキーワードの候補を羅列 〈構成案作成〉 ① トピックの構成案をプロンプトで依頼 ② トピックに合った構成案をChatGPTが作成 〈校正〉 ① プロンプト誤字脱字や文法チェックを依頼し、該当の文章を貼る ② Chat校正後の結果を表示 |
たとえば、Webサイト運営会社がGoogle検索でクリック率が悪い記事の改善をする場合、Googleが提供する「Google Search Console」とChatGPTの有料プラン「ChatGPT Plus」のベータ版の機能「Advanced Data Analysis」を使います。
作業手順(サーチコンソール側):
作業手順(Code Interpreter側):
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ChatGPT3.5のベータ版「Advanced Data Analysis」で分析をChatGPTに依頼すると、ChatGPT はPython(パイソン)というプログラミング言語を使って分析します。そして、分析結果を日本語の文章やグラフにしてくれます。
広告におけるマーケティングでは様々な分析を行いますが、Pythonを実行できるChatGPT のベータ版「Advanced Data Analysis」で実現できます。広告の成果に悩んでいる人は、Advanced Data Analysisによる分析を利用してみましょう。
ChatGPTに他のITツールを連携させると画像生成も可能
ChatGPTに他のITツールを連携させることで、画像の生成も可能です。ChatGPTは文章生成に特化したAIですが、文章作成以外の作業をさせたい場合は、ChatGPTと他のITツールを連携させることでChatGPTの出来る事が広がります。
たとえば、広告のデザイン画像を作成したい場合、ChatGPTとは別のサービスを組み合わせることで、画像の生成も可能です。画像生成AIはいくつかありますが、画像生成AI「Stable Diffusion」ではプロンプトのみで画像生成ができます。
自分が思い描く通りの画像を「Stable Diffusion」で作成するには、詳細なプロンプトが必要です。しかし、ChatGPTを使えば、人が入力した簡単なプロンプトを詳細なプロンプトに修正してくれます。ChatGPTは、画像生成をする際のプロンプト作成にも利用できると覚えておきましょう。
なお、ChatGPTの有料プランを契約している場合は、ChatGPTのみで画像生成が可能です。また、無料プランでも1日でやり取りできる回数に制限はありますが、画像生成を行うことができるため、画像生成を試したい方は活用してみてください。
ChatGPTの返答をCM動画やキャンペーンに利用した例がある
ChatGPTを使った広告の活用例には、ChatGPTからの返答をもとにCM動画作成した例や、ChatGPTからの返答自体を広告にした事例があります。
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たとえば、老舗化学薬品企業の場合、自社のベストセラーである殺虫スプレーのCM動画にChatGPTを活用しました。国内の殺虫剤メーカーとして上位の企業ですが、若い人へのPRを強化するため、若者に訴求力のあるCM動画をChatGPTが提案しました。
また、大手ドリンクメーカーの場合は、CMの冒頭に「このCMはChatGPTで作成しました」と表示することで、他社との差別化を図りました。ChatGPTの利用がまだ一部に限られている段階でChatGPT利用をアピールすることで、先駆的な印象を与えられます。
ChatGPTの広告利用は、内部で担当者がクリエイティブ制作に活用するだけでなく、消費者の目に見える形の広告としても利用されています。ChatGPTは誰でも簡単に利用できるツールなので、広告作成で成果を上げたい人は、ChatGPTの利用を検討してみましょう。
成果物のチェックや的確なプロンプト作成が大切
ChatGPTを広告に活用するには、成果物のチェックや的確なプロンプト作成が大切です。なぜなら、ChatGPTは作成するプロンプトにより、十分な効果を発揮しない場合や、嘘をつく場合があるためです。
ChatGPTの文章作成や分析能力は高いですが、作成した広告やデザイン案がイメージ通りにできている保証はありません。できる限りイメージ通りの広告を作成するためには、人間がチェックする事と的確なプロンプトを作成する事の2つが必要です。
また、ChatGPTがもつデータベースは2021年9月までなので、それ以降に開発された技術や起こったニュースは学習していません。最新の情報で回答させたい場合は、ブラウジングした情報を回答として生成させることができるGPTs(Webpilotなど)を活用しましょう。
ChatGPTは広告において様々な活用ができるツールです。しかし、広告業界においては掲載時に守るべき規約やルールなどのレギュレーションが存在し、文字数制限や使用不可文言にも気を配る必要があります。ChatGPTで作成した広告を公開する前には、広告の著作権や文章などに問題がないか確認するようにしましょう。
まとめ
ChatGPTを活用すると、広告におけるキャッチコピーやバナー作成が可能です。ChatGPTのチャット欄にプロンプトで指示文を入力すると、ChatGPTが広告に合ったキャッチコピーやバナーのデザインを文章で提案してくれます。
ChatGPTで作成したプロンプトを、他の画像生成AIツールに貼り付けると、文章の入力だけで画像生成も可能できるようになります。また、ChatGPTと他のITツールを連携させることで、動画作成なども効率的に行えます。
ChatGPTを使った広告の活用例には、ChatGPTからの返答をもとに作成した作成したCM動画や企画があります。ChatGPTの文章作成や分析能力は高いですが、ハルシネーションの問題もあるため2023年の段階では、作成した広告やデザイン案は担当者がチェックしてから使用しましょう。
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